名著 ~覚悟の磨き方 超訳吉田松陰 「士4」

本文より

 

「聖人の『こだわらなさ』を知る」

賢い人というものは、

たいてい権力者からの心づけとか、接待を受けようとせず、”媚びない態度”というものを貫こうとするものです。

それで出世の道が遠のき、

思いがけない嫌がらせを受けることもありますが、清潔なイメージを保つことは出来ます。

「あいつは金や権力に汚い奴だ」と罵られるよりも、よほどましだと思っている人の生き方です。

しかし、いわゆる「聖人」と言われるレベルの人となると、全然そういう態度ではないようです。

気にせず、受け取りますし、招かれます。

かの孔子もそうでした。

 

思うのですが、本当に素晴らしい人物は、何もこだわらないのですね。

まるで鏡のように澄み切った心で、

どんなことも、どんな人も、あるがままに受け入れてしまう。正義感あふれる人と会うときには、

その正義を楽しみますし、礼儀正しい人会うとき

には、その礼儀を楽しみますし、相手が正義も礼儀もない人だったとしても、たった今、正義や礼儀を身につけたというなら、

以前におかした罪や、無礼をとがめることもありません。もちろん、「また悪さをするんじゃないか?」

「礼儀正しいのも今だけじゃないのか?」と疑うこともしません。つまり人をジャッジないんです。しかし、ここまで態度の清らかな人物は、よほどの心の持ち主だと思います。

私もこの境地まで達してみたいものです。