ムーヴ思考 ~2025年に必要なスキル~

1位 分析的思考と革新(Analytical thinking and innovation)
2位 アクティブラーニングと戦略的学習力(Active learning and learning strategies)
3位 創造性、独創性、イニシアチブ(Creativity, originality and initiative)
4位 テクノロジーの設計とプログラミング(Technology design and programming)
5位 批判的思考と分析(Critical thinking and analysis)
6位 複雑な問題解決(Complex problem-solving)
7位 リーダーシップと社会的影響(Leadership and social influence)
8位 感情的知性(Emotional intelligence)
9位 推論、問題解決、発想(Reasoning, problem-solving and ideation)
10位 システム分析と評価(Systems analysis and evaluation)

このランキングTOP10には、AIに任せることが難しい複雑な思考スキルやテクノロジーそのものを創造するスキルが目立ちます。
例えば、1位の「分析的思考(アナリティカルシンキング)」は、事実を正しく把握し整理・分析することで問題の原因や解決法を探ろうとする考え方です。また、5位の「批判的思考(クリティカルシンキング)」は、何でもネガティブに考えることではなく、物事を多面的に考えながら問題の解決策を探る考え方です。

「仕事の未来レポート2018」では、2022年までに労働者の半数以上が再スキルアップを要すると述べています。大きな変化を遂げつつある社会において自らの市場価値を高めるためには、主体的な学びを通じて新しいスキルを伸ばし続けることが欠かせないと言えるでしょう。

分析的思考に深く関わっている「コンセプチュアルスキル」とは

さて、先程ご紹介した2022年に求められるスキルを、もう少し掘り下げて考えてみましょう。

1位となった「分析的思考(アナリティカルシンキング)」は、まさにこれからのAI時代に必要な思考と言われています。分析的思考は、AIでどんなデータを導き出したいかを予測して設計し、得られたデータを実際の業務や経営にどう活かすのかを考えるための思考です。
データに基づく思考ではありますが、AIや機械学習の技術や理論を知っていれば良いわけではありません。ビジネスの課題を解決するにはどうしたら良いのか、データを日々の業務や経営戦略と結びつける“力”こそが、分析的思考には必要とされています。

この分析的思考を育むためには、特にコンセプチュアルスキルを高めることが重要です。

「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」とは、様々な知識や情報を分析しながら複雑な事象を概念として捉え、物事の本質を理解する能力です。
コンセプチュアルスキルを高めるためには、ロジカルシンキング・柔軟性・俯瞰力などの様々な要素を駆使する必要があります。ビジネスや日常生活において次のポイントを意識することで、コンセプチュアルスキルが身についていくでしょう。

  • 問題が起こったときに怒ったり落ち込んだりするだけでなく、事実を冷静に受け止めて原因を探る
  • 問題を解決することで得られるメリットや、問題を解決しないことで発生し得るリスクを考える
  • それまで当たり前と思っていたシステム・ルール・価値観などに疑問を持つ
  • 現在のやり方にとらわれず、新しい方法を柔軟に取り入れて問題解決を図る

2022年に必要とされなくなるスキル

1位 手先の器用さ、持久力、精度(Manual dexterity, endurance and precision)
2位 記憶力、言語能力、聴覚能力、空間能力(Memory, verbal, auditory and spatial abilities)
3位 財源の管理(Management of financial, material resources)
4位 テクノロジーのインストールとメンテナンス(Technology installation and maintenance)
5位 リーディング、ライティング、数学、アクティブリスニング(Reading, writing, math and active listening)
6位 人事の管理(Management of personnel)
7位 品質管理と安全意識(Quality control and safety awareness)
8位 調整と時間管理(Coordination and time management)
9位 視覚、聴覚、言語能力(Visual, auditory and speech abilities)
10位 テクノロジーの使用、監視、制御(Technology use, monitoring and control)

ランクインしているスキルの多くは、ルーティンワークなどで比較的用いられているスキルであり、今後ロボットやAIで自動化できる可能性が高いスキルと考えられます。

とは言え、現在これらのスキルを用いて活躍している労働者が完全に仕事を失うわけではありません。人の手でなければ遂行できない作業は多くあります。
しかし、今後ITやAIの進歩が人間の仕事を担う可能性も否定しづらいほど、技術はどんどん発展しています。これからのキャリアを考えていく上で、自身が持つスキルの棚卸しと再構築が求められるのではないでしょうか。

 

「仕事の未来2018」を発表した世界経済フォーラムは、2020年、新たに「仕事の未来2020」を発表しました。このレポートでは、2025年以降に需要が高まると予測されるビジネススキル10種類について、次のように発表しています。

1位 分析的思考と革新(Analytical thinking and innovation)
2位 アクティブラーニングと戦略的学習力(Active learning and learning strategies)
3位 複雑な問題解決(Complex problem-solving)
4位 批判的思考と分析(Critical thinking and analysis)
5位 創造性、独創性、イニシアチブ(Creativity, originality and initiative)
6位 リーダーシップと社会的影響(Leadership and social influence)
7位 テクノロジーの使用、監視、制御(Technology use, monitoring and control)
8位 テクノロジーの設計とプログラミング(Technology design and programming)
9位 適応力、ストレス耐性、柔軟性(Resilience, stress tolerance and flexibility)
10位 推論、問題解決、発想(Reasoning, problem-solving and ideation)

2020年のランキング結果は多くの点で2018年と共通していますが、「複雑な問題解決」「批判的思考と分析」の順位がより高くなっています。また、「適応力、ストレス耐性、柔軟性」が新しくランクインしました。

2019年以降、新型コロナウイルス感染症拡大を機に価値観や働き方が大きく変化しました。また、テレワークなどの新しい働き方はアフターコロナ時代のスタンダードになりつつあります。
このように変化し続ける世界で活躍するためには、2018年・2020年とも2位にランクインしている「戦略的学習力(ラーニングストラテジー)」がひとつの鍵となります。

「新しいことを学ぶ際に、状況に応じて最適な学習内容や学習方法を選択し、実践できる力・スキル」のことを指す「戦略的学習力」を伸ばすことは、ビジネスはもちろん日常生活を豊かにする上でも必要になってくるでしょう。