ムーヴ思考 ~時代の変化~

最近“GAFA”は人員削減などリストラ策を強化している。今後の情勢次第では、リストラ策はさらに強化されるとの見方もある。昨年1年間で、大手プラットフォーマーと呼ばれる企業の株価は大きく下落しており、リーマンショック後の世界経済の成長を支えたGAFAの時代は終焉しゅうえんを迎えつつあるとみられる。その背景には、これらの企業のビジネスモデルに成長の限界が見え始めていることに加えて、米国の利上げや競争激化などいくつかの要因がある。

需要の鈍化と世界的な物価上昇などを背景に、GAFAが高い成長を実現することは難しくなっている。特に、SNS依存度の高いメタの業績悪化は深刻だ。

GAFAにとって、これまでのような高い成長が難しくなっている背景には、いくつかの要因がある。まず、米国の超低金利環境が終わったことは大きい。2020年の春先、世界全体で新型コロナウイルスの感染が急拡大した。米国などの中央銀行は金融緩和を強化し、景気の下支えに取り組んだ。ダブついた資金は株式市場に流入した。特に、デジタル化を牽引したGAFAをはじめIT先端企業の高成長は間違いないという過度な成長期待は高まり、株価は急騰した。しかし、2021年11月末に連邦準備制度理事会(FRB)は、物価上昇は一時的との認識の誤りを認めた。2022年3月以降、FRBはインフレを鎮静化させるために利上げを加速させた。世界的に金利は上昇し、GAFAを取り巻く事業環境は急速に不安定化した。金利上昇によって企業や家計の利払い負担は増加し、需要は徐々に減少している。

昨年の年末商戦では、多くの米国企業は値下げによって在庫を減らさざるを得なくなった。利上げの継続に伴い徐々に賃金の上昇ペースも鈍化している。金利上昇は株価を下落させる要因にもなり、GAFAなどへの逆風は強まっている。何事も維持することは難しい。挑戦し続けることの大切さを痛感する。状況が変わればすぐに撤退する。これが経済を読むということなのだと思う。