厚生労働省の報告書によると、日本の子ども(17歳以下)の貧困率は13.5%(2018年)です。つまり、7人に1人の子どもが貧困状態に陥っています。先進国の中でも34カ国中10番目に貧困率が高く、深刻な問題となっています(OECD, 2014年調べ)
「貧困の定義」
貧困の定義は複数のものがありますが、大きく「絶対的貧困」と「相対的貧困」に分かれます。絶対的貧困とは、人間として最低限の生存を維持することが困難な状態を指します。飢餓に苦しんでいたり、医療を受けることがままならなかったりする人がこの状態に当たります。
一方で、相対的貧困とは、その国の文化水準、生活水準と比較して困窮した状態を指します。具体的には、世帯の所得が、その国の等価可処分所得の中央値の半分に満たない状態のことです。OECDの基準によると、相対的貧困の等価可処分所得は122万円以下、4人世帯で約250万円以下(2015年時点)です。
「貧困は連鎖する」
親の経済的な困難は、子どもにさまざまな影響を及ぼし、世代を超えて連鎖します。内閣府(2014)によると、生活保護世帯を全国平均と比較すると、中卒率は7倍、高校中退率は3・5倍、大学進学率は3分の1になっています。親の経済的な貧困によって、学習や体験の機会を失い、学力が低下し、不安定な就業につながり、子もまた貧困に陥るというスパイラルに陥る危険性があります。
相対的貧困は、子どもの心理的な側面にも悪影響を及ぼします。周りのみんなにとっては当たり前の生活が、自分だけ享受できないという状態は子どもたちに破壊的なダメージを与えます。そして、次のような言葉を話すようになります。
「なんで僕だけ?」
一つひとつの貧困による機会の喪失は小さなことかもしれませんが、日本の相対的貧困の子どもたちは、生きていく中で、この言葉を何度も何度も繰り返します。そして、「なんで、自分だけ?」 を繰り返した子どもたちは、もうその言葉を言わなくなります。その代わりに、ある言葉を繰り返すようになります。それは次のような言葉です。
「どうせ僕なんて」
様々な機会を失い続け、「あきらめ」の感情を持ってしまった子どもたちは、支援団体とつながることすら困難な状況になってしまいます。