ムーヴ思考 ~パーキンソンの法則~

パーキンソンの法則とは、英国の歴史学者・政治学者シリル・ノースコート・パーキンソン(1909-1993)の著作『パーキンソンの法則:進歩の追求』の中で提唱された法則。当時の英国における行政の組織・運営の分析から生み出されたものであり、以下の2つがよく知られている。

第一法則:仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
第二法則:支出の額は、収入の額に達するまで膨張する

第一法則は、英国の官僚制における役人の状況を観察し、仕事の有無に関わらず役人の数が一定割合(年率5.17〜6.56%)で増加していることから導き出された。部下を増やしたがる、お互いに仕事を作りあうといった役人の持つ習性により、人数が増えたことによる一人ごとの仕事量の減少が労働時間の減少にはつながらないとしている。

第二法則は、予算財源を常に使いきってしまい、税負担が際限なく増加する英国の国家財政状況の観察から導き出された。この法則は、つまり「人は時間やお金といったあらゆる資源を、あればあるだけ使ってしまう」ことを意味している。

「30分で終わるはずの会議も1時間で設定していると、1時間ぎりぎりまでかかってしまう」、「収入が増えたはずなのにその分支出も増え、お金がまったく貯まらない」などのエピソードは身近な事例としてわかりやすい。パーキンソンの法則は、残業時間の削減や貯蓄に取り組む際の戒めとなるだろう。